病気について

わが家の三歳になるポメラニアンは、最近下の前歯が一本抜けてしまいました。今はその隣の歯がぐらついている状態です。今のところ痛そうにしている様子もありません。しかしこのまま放置していて良いのでしょうか。人間なら差し歯という方法もあるのでしょうが・・・

永久歯が抜けてしまった。人間ではすぐに差し歯や入れ歯、つまり義歯で対応しますが犬の場合は、ショードッグのように外観上必要という犬以外義歯は使われません。 なぜならば、義歯を使っても食事をするとすぐはずれてしまうなど、機能的に無理があるからです。

それでは犬の歯科について少し勉強してみましょう。

犬は生後三週位から乳歯が生えはじめ、十週前後で全部生えそろいます(二十八本)。その乳歯は四~六ヶ月前後ですべて永久歯に生えかわります。が、うまく生えかわらず、歯周病の原因となっていることもあります。

その永久歯は上下六本ずつの切歯(前歯)、上下二本ずつの犬歯、そして上下八本づつの前臼歯、上四本下六本の後臼歯と、計四十二本の歯から構成されてます。(ちなみに猫の永久歯は三十本です)

ではそれらの歯はどのような働きをしているのでしょうか?

切歯は獲物をとらえたり噛んだり、噛み切ったりする。犬歯は同じくとらえたり噛んだり、引きさいたりする。前臼歯は口に入れた食物を切ったり、すりつぶす。後臼歯は口に入れた食物をすりつぶす。等々の働きをしています。

しかし野生で生活していた時代と違い現代は、ドッグフード等、噛んだり、咀嚼したりしないですむ食物が多く与えられるため、ほとんど丸のみ状態の犬が多く見られます。もちろん一粒一粒吟味しながら食べる犬もいますが。

食べ終わった後、口の中は食べかすが歯と歯の間に残り、そこに口の中の最近が関与し歯垢ができます。その歯垢はそのまま放置しておきますと、唾液中のリンやカルシウム等がくっつき石灰化し、歯と歯ぐきの間に歯石ができてきます。そしてその歯石をそのまま放置しておきますと、歯のまわりの歯肉や歯槽骨まで炎症がおこり、歯周病をおこすことになります。この歯周病は、歯が痛い、抜けてしまう等の他に、歯周病に関与している細菌が、血管やリンパ管を通って全身に行き、心臓病や肝臓病をひきおこすともいわれています。

ではこのような歯周病にならないためにはどうすればよいでしょうか。

固いエサを与える、歯が丈夫になる、きれいになると表示されているおやつやオモチャを与える等色々な方法がありますが、最も有効な方法は歯みがきだそうです。これは小さい頃からやっていると、何の苦もなく習慣としてできるのですが、大人になってからでは時間をかけてやらないとむずかしいかも知れません。最初は口を触ることから始め、痛くない、怖くないことを知らせます。できたらごほうびをあげ次は唇をめくります。そして指を口の中に入れます。それができたらガーゼを指にまいて水や肉汁で十分湿らせ歯の表面をこすります。
それもできれば歯ブラシを使うというように、少しずつ根気よくやってみて下さい。

このように最近では、犬にとっても『歯は命』と言われてきています。歯の手入れをよくしてあげ健康な生活を維持してあげて下さい。